総務省推薦の無線
総務省は平成15年より電波法基準改正を皮切りにタクシー無線のデジタル化の方針を打ちたてました。同年より、デジタル・タクシー無線の免許が同省の関東総合通信局より交付されて以来、タクシー無線のデジタル化は増えつつあります。
総務省は平成28年6月をまでにタクシー無線のデジタル化の移行を完了させる予定とし、タクシー無線には社団法人「電波産業会(ARIB)」によって策定された標準規格と通信方式を推奨しています。
通信システムの拡張性に配慮した仕様
タクシー無線のデジタル化にあたり、社団法人・電波産業会(ARIB)が策定した標準規格は「狭帯域デジタル通信方式」の標準規格である「ARIBSTD-T61」のうち、無線キャリアごとに無線チャンネルを割り当てるSCPC方式が適用されています。この方式をもとに最小限必要な規格のみを規定し、多種多様な通信形態からなるシステムとしての構築性や拡張性を配慮しています。
項 目 | 規 格 | 備 考 |
---|---|---|
通信方式 | SCPC | Single Channel Per Carrier の略 |
変調方式 | π/4シフト QPSK | |
信号伝送速度 | 9.6KBPS | 伝送速度制度:±5.0ppm以下 |
音声符号化方式 | 任意(規定しない) | 音声信号の伝送速度のみ規定 |
誤り訂正符号 | 畳み込み符号 | 符号化率:1/2、拘束長:6でRICHおよびPICHに適用 |
占有周波数帯調 | 5.8kHz 以下 | |
キャリア周波数間隔 | 6.28kHz | |
周波数許容偏差 | 移動局:±0.9ppm | 空中線電力1w以下は±1.5ppm |
基地局:±0.9ppm | 移動局の基準となる場合は±0.2ppm |
SCPC方式の2種類の規格
「ARIBSTD-T61」のSCPC方式は「本文」と「付属規格」の2種類の規格が併記されています。どちらも変調方式など技術的な条件は同じですが互換性はなく、無線機メーカーの設計思想によって適切なものが選ばれます。「付属規格」はタクシー無線のように比較的短いデータを頻繁に送信する事の多いシステム向けである事が特徴です。
ARIB STD-T61のSCPC方式に定められた「本文」
ARIB STD-T61のSCPC方式に定められた「付属規格」
総務省はタクシー無線デジタル化の移行に合わせて、従来のアナログ周波数に使用期限を定めています。平成19年6月1日移行より指定を受けている周波数を除いて、新たにアナログ通信方式による周波数の指定はとりやめられ、再免許及び陸上移動局の免許には平成24年5月31日までの使用期限が定められています。